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名作を読む おっかなくない、やまんばのお話

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図書館でふと手にした「やまんばのにしき」を読むまでは、「やまんば」は髪を振り乱してすごい速さで追いかけてくるとか、頭のてっぺんにある大きな口にごはんもお汁も流し込むとか、とにかく恐ろしい生き物だと思っていました。
「やまんばのにしき」のやまんばは、餅を届けにきた婆さまを水汲みにやったり、足を揉ませたりはするものの、婆さまをとって食おうという様子はうかがえません。
それどころか、約束の21日間の奉公を終えた婆さまに、切っても切っても尽きぬにしき(反物)を差し出したやまんばは「やっかいかけたな。なんのれいもできんが、にしきを一ぴきもっていけ。村の人たちにはなんにもねえども、だれもかぜひとつひかねえように、まめでくらすように、おらのほうできをつけてるでえ。」と言葉をかけます。わたしが初めて出会った心根の優しいやまんば。
そして、この昔話に登場する「ねぎそべ」「だだはち」というおかしな名前の若者、「がら」と名付けられたやまんばのこども、やまんばに餅を届けた七十いくつの「あかざばんば」…それぞれの個性と、舞台となる「ちょうふくやま」の風景が、瀬川康男さんの生き生きとした美しい絵で描かれています。

短いお話にもかかわらず、人間の欲深さや優しさ、可笑しさ、強さ…様々な内面が率直に描かれている昔話。
大人の心にも響きます。

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